動物とかの話。

 隣の家の猫は雄の長毛種でカールさんという。なぜかよく我が家のベランダに居る。少々ガタイが良いからか、それとも運動不足だからなのか、ベランダに着地するときは『ガタンッ』とか『ドッ』とかいう。いつか失敗しそうで心配だ。私の部屋はベランダに面しているので、カールさんがおいでになるとよくわかる。あちらから覗いているときもある。猫は人の家を覗いても通報されたりしないので、猫でよかったねと思う。でも着替えているときは居ないようなので、そのへんは猫なりに気を遣っているのかも知れない。先日もそうして夕暮れをやり過ごしていたカールさんを発見したので、銀色のモールでもって遊んで貰おうとしたけれど、徐々に後退しつつ薄く鬱陶しそうな雰囲気を醸し出していたので、とても申し訳ない気持ちになった。

 飼い主と散歩中の小型犬がいた。チワワだとかそういう仲間な顔つきをしている。ガレージに繋がれた中型犬の前まで来たところ、中型犬が吠えだした。吠える中型犬、のんびり歩く飼い主、チワワっぽい小型犬は吠えることも忘れて駆け出そうとした。けれども首輪から伸びるリードはスローペースな飼い主に握られており、その結果チワワ似は首を後ろに反らせたまま後ろ足だけで『ォゥォゥ』と空走りしていた。滑稽だった。

 自転車で走っている道路の向こうの方で、小学一年生くらいの女の子が両手を広げて立っていた。どこで覚えたのか『僕は死にましぇーん』である。私も小学生の頃は通学路の途中の車道でよくやった記憶があり、懐かしさも込めて女の子の方へ力一杯走っているポーズで自転車を進ませた。女の子はキャッキャと笑い、私は減速して脇をすり抜けようとし、女の子の母親が私に向かって『すいませーん』と会釈した。私も笑顔で会釈を返した。なにやってんだろう。