2003-07-19 そのへんの犬の話 普通の犬である。 ほかの犬と同じく、その犬は賢くなりたかったので、賢くなろうとつとめた。賢そうな素振りだけが身についた。けれども賢くなった気分にはなったので、そのような考え方をした。 あまりのくだらなさに半分気付いたとき、犬は死にたくなった。犬としてひどく情けなかったので死にたかった。 そこで犬は田舎の道を走った。走っているうちに犬は楽しくなった。いつかトラックがやってきて犬を轢くのだろうか、それとも誰かが見つけて拾ってくれるだろうか。それにもまた、情けなくなった。 犬は走るのをやめた。