先日、部屋の前の電線に蝉が一匹とまり、朝の五時から嫌がらせの如くシャカシャカ鳴きやがって、エアガンでも持っていたら撃ち落としてやろうかというほど喧しかった。
 私の住んでいるところは都会に近い田舎なのだけれど、蝉は一体どこの土の中で六年間も眠っているのだろうか。土といっても植木や畑は違うだろうし、やっぱり学校の校舎裏あたりか。小学校のころ、幾つもの穴を発見したことがあるけれど、木の枝を差し込んでみても手応えがなくて、よくわからなかった。そして、蝉の穴だったとしたら、小枝で確認しても穴のある時点でもうどこかへ行ってしまっていたのだと今になって気付く。