新編 風の又三郎

 宮沢賢治新編 風の又三郎 (新潮文庫)」読了。
 本書は全集などで表題作になっていたものが多いようだけれど、感動系童話なイメージで読む気がしないなら、食用に開発される豚を豚の側から描いた「フランドン農学校の豚」だけでも一度読んでごらんになるといい。
 個人的にこのごろは「二十六夜」「虔十公園林」「グスコーブドリの伝記」のような、穏やかに心を刺される作品に少し惹かれる。他の作品も小学生のころ読み漁った割にさっぱり内容は憶えていなかったけれど、今読んでも面白かった。
 ついでに、それまでどっぷりだった宮沢賢治を、「ダリヤがなんとかかんとか」いうタイトルのを読んだら全く理解できなかったのでぱったり読まなくなったことを思い出した。あれが「理解できない」の理解だったのかもしれない。