夢見族の冒険/半村良

夢見族の冒険 (中公文庫)

夢見族の冒険 (中公文庫)

 読了。25歳で子供がいて離婚した女性が銀座のクラブで働くのだけど、著者である半村良バーテンダーなどお酒の仕事をしていたのでその世界の話だと思っていたら、そんなことはほんの導入口で、本当に冒険する話だったので驚いた。展開も早く、読後感はカラリとした夢を見たような気分である。
 ところで半村良の描く人物、とくに女性は物事に対してあまりにも割り切れており今回の主人公である碧はそれに加えて強運で、そこが虚構的で逆に良いのかもしれない。
 振り返って自分の話をすれば、幸運はそれで済むとして、不運な時はそれなりの原因があるんじゃなかろうか。碧は強運だけれど行動もしているのだ。