2003.05.06.tue.cloudy

 こういう天気の日の運転は厭なものです。
 もうじき雨になりそうだと思ったお客たちは、いつもは歩いて帰るような距離の癖に、次から次へと乗り込んできます。
 車内はとても込み合っていて、香水や煙草や腋臭だけでなく、入れ歯や水虫や蟯虫の臭いまで漂ってきます。

 停留所には、また何人もの乗客が群がっています。
 大人しく列んでいればいいものを、われ先に入り口へと押し合うので、どうやら子供が倒れたようです。
 肉詰めの車内には、もうあのくらいの隙間しかないのですが。
 ぽつりぽつり雨が降ってきました。

 後部の入り口ドアは、人が溢れ出てとても閉まりません。
 頭だけを車内に飲み込まれた体をぶら下げぶら下げ走ります。
 ただでさえ臭う車内に、雨で焼けただれた人の刺激臭が加わりました。
 最前の背の低い女性が嘔吐をはじめました。