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火星人的なクラゲというのは想像でしかなくて、現実のクラゲというのは八本足では済まず、もしゃもしゃと長い触手が生えていて、実に不自由そうである。その、不自由そうなクラゲが、狭い水槽に二匹(匹?)入れられて、自分だけでも絡まっている足を相手とも結んでしまっていて、関係まで不自由になっている。
『もつれた関係』『ややこしい関係』などという言葉は、人が初めてクラゲを見たときに作られた。そうして、自分をはげました。二度と離れることの出来ないこのクラゲに比べたら、自分はまだ救われている。逢わぬことも逃げることも出来るではないか、と。
自分に当てはめて納得している言葉をもう一度考え直してみてほしい。本当に、もつれた、ややこしいことなんて、クラゲにしかありはしないのだ。
嘘です。
桂枝雀『らくごDE枝雀』、読了。