042:『モロー博士の島―他九篇』H.G.ウエルズ(訳:橋本槙矩・鈴木万里)

モロー博士の島 他九篇 (岩波文庫)

モロー博士の島 他九篇 (岩波文庫)

 SFらしいSF(宇宙だとかロボットだとか)を想像していたけど、もっと身近な感じで、藤子・F・不二雄の「S(すこし)F(ふしぎ)」というアレの方が近かった。実際「故エルヴィシャム氏の物語」は老人と少年の心身交換話で、これの流れから違うラストを創作したのかもしれないねえと読みながら思った。「アリの帝国」は進化したアリの話。考えられるような進化の仕方とオチに恐ニヤリ。
 どの作品も皮肉っぽいファンタジーで面白いが、最後に収録され表題作の「モロー博士の島」ほどの面白さではない。不気味さと恐怖で、久し振りに夢中になって読んだ。
★★★★☆