065:『短編復活』集英社文庫編集部
- 赤川次郎「回想電車」
- ハッピーエンドの反動か、ときどき冷淡に突き放される。
- 浅田次郎「角筈にて」
- 著者の作品は大抵「うっ」となるのであまり読みたくないのだ。なんてなんて切ないんだ、と思わされつつ、虚構に泣かされるのは納得がいかない。あーだからSFが好きなのかも。じゃあ泣かされるSFは気持ちの持って行きようがないなあ。
- 綾辻行人「特別料理」
- トリック濃厚ミステリー作家という思い込みから著者を敬遠していたのだけど、まさか好きなテーマをこの人が持ってくるとは思わなかった。「いま自分は○○を食べているのだ」というのは最も共感できる対いかもの感覚。
- 伊集院静「蛍ぶくろ」
- 並はずれた愚かさ。
- 北方謙三「岩」
- やっぱり格好良すぎるけど、ハードボイルドより温泉卵というか。ハードボイルドというのは登場する女性と主人公がなにかにつけ性交する物語だと思うし、実際そうなんだけど、男性の闘志みたいなのも少しは描いているのかもしれない。
- 椎名誠「猫舐祭」
- SFな世界には惹かれてしまう。
- 篠田節子「38階の黄泉の国」
- 一瞬の嫌悪感を思い出に変換するとき漉し取ってしまうのってあるかもしれない。
- 志水辰夫「プレーオフ」
- 快いご都合展開。
- 清水義範「苦労判官大変記」
- 歴史パロディ。好みではなかったけれど技巧はさすが。
- 高橋克彦「梅試合」
- 着想が面白い。ただ、この話ならきっちり落としてほしかった。
- 坂東真砂子「盛夏の毒」
- 怖くて面白い。目に浮かぶ鮮やかな夏の景色と、閉塞的な場が縮められていく怖さ。著者の作品はいくつか読んだことがあるけど、もっと読みたくなった。
- 東野圭吾「超たぬき理論」
- 理詰めの嘘は好きだなあ。しかもニヤリとさせられる。
- 宮部みゆき「さよなら、キリハラさん」
- すべての登場人物に理性を感じられない。
- 群ようこ「キャンパスの掟」
- 目に見える優しさは気持ちが悪い。
- 山本文緒「いるか療法―突発性難聴」
- おだやかに傷を癒していくのはいいと思う。サブタイトルはいらないと思う。
- 唯川恵「青の使者」
- 「蛍ぶくろ」「38階の黄泉の国」のだめんずうぉーかー的シメか。そして臨界点を突破しただめんずはこうなると。
満足度の高い一冊。
★★★★☆