ねこのいるまち
学校に行きだしてから、今まであまり行かなかった方向の駅も利用するようになり、午前八時のその界隈は小中学生と近くの女子校の生徒がまばらに歩いている。
墓地を越える通りを行くと駅まで一直線なのだけれど、駐輪場の入り口が反対方向にあるので、このごろは駐輪場に真っ直ぐ入れるコースを採っている。
その道には古くて大きな家が並んでいて、大きな木が道路の上まで新緑の枝を広げている。
運がいいと、さらりとした空気の中をネコがひたひたと歩いている場面に遭遇する。反対側の駅周辺ではあまり見かけなかったのに、こちらあたりは思いの外ねこの数が多いらしい。
向こうはこっちのことなんて「あ、ひと」くらいにしか思っていないだろうから、こちらも「あ、ねこ」くらいに留めている。
だけどおとといの朝は、大きな木の家の前に止められた古い自転車のサドルに招き猫型にちょこんと座っていたので、しかも「あおんあおん」言っていたので、いたので、いまだに印象が残っている。
ああっ、ってなる。