自転車に鍵がない話

いま乗っている自転車は、盗難歴があるため鍵がない。その前に乗っていたのはオレンジとブルーのカラーリングでミニモトクロだとかいう可愛い自転車だったがしかしながら形態上乗りにくく、一年前に弟が乗っていたグレーを譲ってもらった。見た目は古く、ブレーキの音もなかなかすごい。でも毎日乗っている愛用の品である。
昨日はバイトで、夜、帰ってきたら家族の具合が悪く入院することになった。ばたばたしていたら寝るのが午前三時になり、十二就寝六時起床の習慣があるものの、今日は七時起床とすることにした。というのも今日は午前中に試験が二つあったからである。受けてみて、平時はそれなりの点数を取るのだが、今回は問題との相性も悪く、あまり芳しくない成績が予想された。
午後の講義は休んでも大丈夫そうだったので、体を休め病院へ行くために早退した。
家族の調子は落ち着いていたので、横で次の試験勉強をしたりうとうとしたり本を読んだりしながら過ごし、帰ることにした。
自転車に乗ってしばらくすると、警官に止まるよう指示された。自転車に鍵がないため職務質問をするのだと言う。人生で初めての職質だなぁと身分証を見せ、防犯登録の照会をしてもらい、礼を告げて別れた。
自転車をこぎながら、凹むわーとぼんやり思っていたら、なんだか悔しいような悲しいような気持ちになってきた。
なんでしんどいのに職質なんかされなあかんねんやろー自転車の見た目そんなに古いかなー私普通の格好してるのになー泥棒みたいに見えるのかなーそんなひどい顔してるかなー人通り多いところで言われるの嫌だったなー結構私頑張ってるのになーなんでやろー
みたいな感じである。
冷静に考えると、警官の言動は当然でむしろ丁寧で、だいたい「鍵がない自転車に乗っている人には声をかける」という仕事なのだから思い悩む必要はなく、強いて言うならツイてなかった。そんな日もあるわけだがどうも、悩んでしまった。
それもこれも疲労と睡眠不足が多分にあり、しかしながらその判断をしたのも自分なわけで、なんか書いたらすっきりしたし、責任とって寝る。
あと、世間の人もしんどいときは悩んじゃうかもしれないから、とりあえず寝たらいいと思う。今日、運が悪かったら明日はきっといいことがないかもしれないけどあるかもしれないので。