タカハシの話

非通知の電話がかかってきた。
「もしもし…わかる?」
心当たり検索。わかるようなわからんような。たぶんこの声は知らない人の声ではなかろうか。
「もしもし」
「はい?」
「……わかる?」
わからん。
「あのさ、人に電話したらまず名前を言おうよ。で、相手を確認しようよ。それから用事を言おうよ」
「……タカハシ」
タカハシ?
「タカハシは誰に電話したん?」
「……ヨウコちゃん……間違えたみたい」
「そっかーヨウコちゃんかー違うわー」
「……声が似てたから」
「違うわー番号合ってる?0とか6とか9とかさ」
「……合ってると思う……一年前に聞いた番号だけど」
「いや一年前だったら私持ってたよ。ていうかなんで一年前?」
「……学生の頃の集まりで」
タカハシ落ち込み気味
「そっかーなんかあったん?」
「……うん……それでかけたんだけど……」
「あーそしたら間違えてたと。てか一年ぶりやったら確認しようや」
「……申し訳ない。お恥ずかしい」
「いやいいよ」
「……なんかほんとに声が似てて」
「ふーん。タカハシどこの人?」
「……滋賀です」
「滋賀かー滋賀って何あるっけ?」
「……琵琶湖とか」
「そうかータカハシは琵琶湖に住んでんのかー」
「……いや琵琶湖には住んでません」
「わかってるよ。で仕事何してるん?」
「……自分でIT系」
「へー難しいことやってるねー」
「……いやいや」
「今日は休み?」
「……うん、土日は休み」
「」