小川洋子「博士の愛した数式」

80分しか記憶ができない”博士”の元へ、家政婦として働きに行った”私”。数学を絡めた会話でしかコミュニケーションを図ることのできない博士。しかし彼は彼なりの誠実さに基づいて接している。心温まる時間は短くて、それでもただ相手が幸せであってほしいという気持ちが一冊に込められている。
数学のあり方を賛美しながら、論理的思考ができない登場人物たち。そういった非論理性がけれど人間らしさであると著者は闇に言っているのか。
高齢の男性と若い女性がお互いに慈しみ合う物語ということで、川上弘美センセイの鞄」を連想した。

博士の愛した数式

博士の愛した数式

センセイの鞄

センセイの鞄

★★★☆☆