右足親指の爪の話。

 ずいぶん前、爪の四分の一くらいが黒くなっていたことがあった。押さえても感覚がなくて、数日間どうしたもんかと思っていた。ある日なにを思ったか、爪と指の間にステンレス器具を入れて探ってみた。やっぱり黒い部分は感覚がなかった。そこまでやると早いもので、あーこれが壊死ってやつかーなんて思いながら、その器具で死んだ細胞を掻き出した。入れておいて他の細胞の妨げになるよりはマシかなと。結局のところ、爪の一センチ四方が指から離れて、そのまま適当に乾燥させたら、痛みもないまま今ではぴったりくっついている。

 先月くらいから根元のあたりが凸凹したり白くなったりしていて、またかいなと放っておいたら、今日になって根元の側がぺろっと浮いているのを発見した。よく見てみると、爪の下に爪が出来ていた。で、リアル二枚爪はギャグやなーとか思いながら、とりあえず浮いてる部分をカットすると、下の爪は根元の方しか出来てなかったので、先は旧爪、根元は新爪の状態。見た感じは、四角い紙に中程までの切れ目を入れて、その切れ目を重ね合わせたような。形は変なものの痛みはなくて、面白いので全剥がしにしようかと思ったけど、下の爪は半分くらいしか出来ていないので皮膚の生晒しは痛そうなのと、爪がないと力が入らないらしいので歩けなくなったら困るからやめた。